人工知能とエンターテインメント
■ビデオクリップ
人工知能がヒット曲を選択
https://www.youtube.com/watch?v=FMX2PmND-tg&t=2s
人工知能が300万曲の音楽データを分析
ヒットの確率を予測
なぜヒットしたかは提示しない
開始ー3:15秒
■ニュースヘッドライン
単純な「答え」に群がる人々 まとめサイトだけ信じ批判
朝日新聞 2017年1月4日
http://digital.asahi.com/articles/ASJDT61KCJDTUCVL00T.html?iref=comtop_8_01
■コンパクトな情報にニーズ
「ウソを書くな」「プライバシーを暴く権利があるのか」――。講談社の雑誌「フライデー」が昨年12月、俳優・成宮寛貴さん(34)のコカイン吸引疑惑を報じると、編集部には抗議の電話が殺到した。2週間で計1千件を超えたという。
報道直後に所属事務所が「事実無根」と否定。1週間後に成宮さんは「これ以上自分のプライバシーが人の悪意により世間に暴露され続けると思うともう耐えられそうにありません」と芸能界引退を発表した。
講談社の乾智之・広報室長(53)は、批判が一気に広がった背景に「ネット、とりわけ『まとめサイト』の影響があった」とみる。
例えば「NAVERまとめ」。一般の人があるテーマについて主にネット上で集めたデータや文章を引用・要約し、見出しをつけた「まとめ記事」として数多く投稿している。
成宮さんに関する「まとめ記事」は約360本。100万回以上閲覧されたある投稿には「弟の学費を稼ぐためアルバイトに明け暮れた」と成宮さんに同情的な記述が目立つ。また、130万回以上閲覧された投稿では、成宮さんの尿検査が陰性で、事務所が「法的措置を取る」と主張したことなどを紹介している。
フライデーの発行部数は約26万部。誌面の読者とは桁違いな数の人々がまとめサイトを見て、「単純化された断片情報によって批判が高まっていった」と乾さんは言う。
NAVERまとめを運営するLINEの広報担当者は「情報発信の場を多くの人に開放することで、より多くの情報や知識が集まり多様性が生まれる」と意義を強調する。365日態勢で投稿をチェックし、公序良俗に反する表現は削除しているという。
一方で、「情報自体の信憑性(しんぴょうせい)を見極めることは非常に難しい」と認める。投稿実績などから投稿者を順位付けするといった信頼度向上策を検討中という。
昨年、医療情報サイト「ウェルク」などDeNAが運営する10のサイトが閉鎖に追い込まれた。肩こりの原因を「幽霊?」と記述するなど内容のずさんさが問題になった。
それでも、ウェルクは月間のべ2千万人が利用する人気サイトだった。同社は「スマホの普及で、移動中などに、パッと浮かんだ疑問にコンパクトな情報を得たいというニーズが生まれている」と、情報サイト事業に参入した狙いを話す。
■情報量、人間の限界を超えた
学ぶことも省力化、単純化される。昨年23万部のベストセラーとなった『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』(井堀利宏著、KADOKAWA)。図表を多く用い、1項目30分×20項目、計10時間で終わるという構成だ。同社ビジネス第2編集課の田中怜子編集長(35)が「ミクロ経済もマクロ経済も一冊でざっくり学べる本が読みたい」と企画。シリーズ化され「経営学」「哲学」も出た。
コンパクトに学べる教養書の元祖といえば、1988年に刊行された『一冊で日本の名著100冊を読む』(友人社)。同社の岩本修三郎会長(73)は「バブルまっただ中、忙しい営業マンの間で知っておきたい教養をコンパクトにというニーズがあった」。『世界の名著』『日本の古典』などシリーズは29冊を数える。「ネット時代、さらに省力化して教養を身につける需要を感じている」と岩本会長。全29冊を1冊に集約した電子書籍化を企画している。
洪水のように情報があふれるネット時代。だが、私たちの脳の処理能力は、2万年前のクロマニョン人とさほど変わらない。こう指摘するのは、国立遺伝学研究所の有田正規教授(生命情報学)だ。まとめサイトなどは「生物としての人間が限界を超えた情報を処理するために生み出した処方箋(せん)」だというのだ。
「ただ一部では間違った情報が拡散するなどの副作用も出ている」と有田教授は言う。「一定の時間をかけて体系的な知識を身につけ、誤りをより分けたり、批判的に咀嚼(そしゃく)したりできるような教育が重要だ」
一方、私たちが日々直面する大量の情報処理と意思決定の一部をAI(人工知能)に委ね、人間はより重要な意思決定に傾注すればいい。そう提案するのは、現代位相研究所の堀内進之介・首席研究員(39)だ。
車に乗れば行き先を、レストランでは何を食べるかを、人に代わってAIが選ぶ。堀内さんはそんな研究をNECの協力で進めている。行動履歴などから、「今日は平日だから会社へ」「昨日はパンだったから鮭(さけ)定食」とAIが提案し、それを人間が受け入れるか否か判断すればいいと堀内さん。主従が逆転する恐れはないのか。「どの意思決定をショートカットしてAIに委ねるか。それを決めるのは私たち人間です」
インターネットinternet
inter(間、相互)+ net(網)
全世界のネットワークを相互に接続した
巨大なコンピュータネットワーク。