■トピックス(ビッグデータ環境の社会とは)
超監視社会”に生きる
NHK BS 2015年9月10日
スマホやPCを通して、私たちはEメール、写真、位置情報等を絶えず政府や企業に提供している。グローバル規模の監視の中で暮らす私たちの、個人の自由について考える。
現代社会においてプライバシーを守る方法はあるのだろうか?私たちのネット上の行動はすべて記録され、保存されている。一方で、政府や企業によるデータ収集は、民主主義と個人の自由を脅かすものであり、よりアクティブに自分たちの権利を守るべきだと主張する専門家も多い。元CIA職員、大手IT企業家、ハッカーなど、最前線にいる当事者たちの証言を交えて綴る。
原題:An Eye on You, Citizens Under Surveillance
制作:ARTE
France / INTUITION Films & Docs / Les Bons Clients (フランス 2015年)
■ビデオクリプ その1 0-1:09 その2 43:30-end
http://www.dailymotion.com/video/x36cdnt
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■ビデオクリップ (思いこみと現実のギャップを自覚するには)
非常時行動の意外 正常性バイアス 8:42
■トピックス
リスク認知のバイアス
リスクの認知と客観リスクとの間には、大きなズレや歪みを生じることが多い。その原因は、そもそもリスクという確率的で不確実性を含んだ概念を人々が認識し難いところにあるが(p.2
参照)、それとともに重要なのは、人間の認知能力にもともと限界があるためである(Slovic,
1986)。かれによれば、できごとの記憶しやすさや想像しやすさによって認知は影響を受けやすく、単にリスクの存在を指摘するだけではかえって恐怖を感じやすいという。また、最初に形成された認知はなかなか変わりにくく、同じリスクでも表現法が変われば認知が変化しやすいという。
客観リスクと主観リスクのズレ、つまり認知バイアスは数多く指摘されているが、まず一般的なそれとして、@ある範囲内であれば認知された異常性をなるべく正常なコンテクストで見てしまおうとする正常性バイアス、A異常事態をより楽観的に明るい側面から見ようとする楽観主義バイアス、B極めて稀にしか生起しないのに、非常に大きな被害をもたらす災害を過大視するカタストロフィ・バイアス、C経験が豊富であることから逆に生じやすいベテラン・バイアス、D未経験ゆえに発生するバージン・バイアスなどが指摘されている(広瀬,
1993)。
リスク学事典 著者: 日本リスク研究学会/編 出版社: TBSブリタニカ (2000
)
■トピックス
避難遅らす「正常性バイアス」 広瀬弘忠・東京女子大教授
中日新聞
2010年5月1日
津波の避難勧告が出ても避難しない人が問題になっている。「自分は大丈夫」。そんな根拠のない気持ちを抱いてはいないだろうか。そんな心には「正常性バイアス(偏見)」が強く働いていると災害心理学の専門家、広瀬弘忠東京女子大教授は言う。打ち破るにはどうしたらいいのかを聞いた。
避難が遅くなる仕組みは?
現代人は今、危険の少ない社会で生活している。安全だから、危険を感じすぎると、日常生活に支障が出てしまう。だから、危険を感知する能力を下げようとする適応機能が働く。これまでの経験から「大丈夫だ」と思ってしまいがちだ。これが「正常性バイアス」と呼ばれるものだ。
強い正常性バイアスのために、現代人は今、本当に危険な状態でも「危険だ」と思えない。チリ大地震の津波が押し寄せているのに、見ているだけで逃げない人の映像が日本でも流れた。強力な正常性バイアスの例と言える。
災害でパニックはめったに起こらないと指摘している。
私たちの調査で、災害でパニックが起こったと確認できる例はほとんどない。特に日本のように地域の人同士がつながっている社会では、パニックは起こりにくい。「自分を犠牲にしても」と互いに助け合おうとする心理が強くなるからだ。
現状では、強い正常性バイアスの結果、パニックになる以前、つまり何が起こっているのか分からないうちに災害に巻き込まれる。日本では避難警報が出ても避難率はいつもゼロから数%程度と低いことからも明らかだ。行政側はパニックを恐れて災害情報を過小に公表してはいけない。
逃げ遅れないために必要なことは?
いざというときに正常性バイアスを打ち破り、「危険だ」と直感できるような訓練をしておくことが大切だ。そのためにはある程度、災害の恐怖感を体に覚えさせておかなければならない。
人間の脳は自分が意識して何かを感じる前に行動を決定する。例えば戦場のベテラン兵士は訓練の結果、思考する前に、「危険だ」と行動できる。兵士ほどではなくとも、災害に対してそういった感覚を磨くことが、生き残るために大事だろう。
具体的に必要な訓練とは?
文字や映像だけで災害の恐ろしさを知るのではなく、実践に近い形の訓練が有効だと思う。日常生活に身体的、心理的なマイナスの影響があるかもしれないが、それを補って余りあるプラスがある。訓練で出るマイナスを認めるような姿勢が世論にも必要だ。
バーチャルリアリティー(仮想現実)技術を活用して造った装置でも、かなり現実に近い体験ができるかもしれない。予告せず、抜き打ちで実施する防災訓練も一案。病院ならば入院患者がいる状態で避難訓練をするのもいい。現実味を帯びた状況を演出しなければいけない。
結局、災害で生き残るのはどういう人か。
正常バイアスを打ち破ったうえで落ち着いて判断し行動する人が最終的には生き残る。1954年、青函連絡船の洞爺丸が沈んだ。そこで生き残った乗客の1人は船が座礁したことから海岸に近いと判断し、救命胴衣をつける際、衣服を全部身につけるなどこういう場合に不可欠な準備をし生き抜いた。冷静に状況を分析し行動した結果だ。
災害を生き抜いた人は周囲が犠牲になったことを不当だと感じず、私たちは社会全体で生還者を心から祝福する雰囲気をつくることが大切だ。それが復興の原動力となる。 (中村禎一郎)
認知学習
認知の学習は「手段」と「目的」の「関係」を知ることにより成立する
(トールマンTolman)
@学習により認知地図cognitive map
が成立し、
Aこの地図により様々な環境条件に
応じた適切な行動が選択される。
→地図は
a 「局地地図」(簡単な行動経路)
をもとに
b
「包括図」(広範な地図)へと「般化」あるいは「転移」する
★般化
ある刺激に条件づけられた反応が
他の刺激に対しても生じること
★転移
以前に学習したことがその後の
学習に影響を及ぼすこと
■用語
認知cognition
英語cognitionの語源はラテン語のcognoscereで,「知ること」という意味をもち,哲学的用語としては認識と訳される。この語源の意味は学術用語として認知の意味に受け入れられている。たとえば,「認知とは知ることであり,認識ともいう。
人は「知る」ために,それに適した構造と機能を有する認知系と考えられる。人という認知系は対象を知るために必要な情報を処理し,所定の認知過程を経て対象を知る。対象認知がいかになされるか。この問題は認知心理学の研究対象である。ナイサーは認知心理学の古典ともいうべき彼の著書(Neisser,
U.1967)で,認知は感覚器に入力された情報が変換,整理・単純化され,表現を与えられ,記憶に貯蔵され,必要に応じて再生,利用されるすべての過程と関係する,と説く。さらに,彼は外界から関連情報が入力することなしに起きる心像(心的イメージ)や幻覚も同様に認知に関係すると考えた。彼はこのような考えに基づいて,とりわけ関心の深い下位認知として,感覚,知覚,イメージ,保持,再生,問題解決,思考等をあげている。なお,人は,ある_知識について,その知識の有無,確からしさ,検索利用の容易さ等を認知することができる。この能力があるので,人は知識のモニタリングを行い,知識を制御することができる。このような知識の認知はメタ認知(Flavell,
J.
H.1979)とよばれ,人の認知の特徴と考えられている(心理学辞典、有斐閣、1999より抜粋)。
認知の情報の流れ(グーグルマップでプレゼン)
トップダウンとボトムアップ
トップダウンtop-down
意志決定やその基礎となる情報 の流れが中枢から末端へゆく場合
例:封建社会
ボトムアップbottom-up society
意思決定やその基礎となる情報の流れが「末端から中枢へ向う場合
例:民主社会
■図版
意志決定の図ははこちら
ナイサーNeisserのモデル
@生態学的妥当性ecological validityに注目した
→フィールドワークfield-workを重視すべき
A環境知覚における能動性に注目
→熟練した知覚者は未経験な観察者が感じることのできない特徴や高次の
構造を検出できる
ナイサーの知覚循環モデル(1976)
特定の情報を選択的に受け入れ、
それにより見る活動をコントロールする
→■図版資料はこちら
熟練した知覚者は未経験な観察者が
感じることの出来ない特徴や高次の
構造を検出することが出来る
(ギブソン1975)
■ウェブ資料
天気図の画像はこちら