■ニュースヘッドライン
山陽新幹線 運転再開の際に徐行せず マニュアルに“違反”
NHK 2016年10月22日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161022/k10010740071000.html
21日、鳥取県中部で発生した最大震度6弱の地震で、一時運転を見合わせた山陽新幹線が広島県内で運転を再開する際、時速30キロに速度を落として徐行運転すべきところを時速245キロ以上の通常速度で走行していたことが分かりました。JR西日本は「再発防止に努めたい」としています。
必要な徐行運転を行わずに走行したのは、地震発生のおよそ20分後の午後2時半前に広島駅と東広島駅の間で運転を再開した上り2本、下り1本の合わせて3本の列車です。
JR西日本によりますと、発生当時、この区間に設置していた地震計は工事中で使用できなくなっていて、社内のマニュアルに従えば、隣接する区間の地震計のデータと気象庁が発表する震度を基に、時速30キロに速度を落として運転を再開する必要があったということです。
しかし、JR西日本の東京指令所の指令員が、誤って時速245キロ以上の通常速度での運転再開を指示し、3本が走行した時点で指令員が誤りに気付いたということです。
JR西日本は「お客様にはご迷惑をおかけし、おわび申し上げます。再発防止に努めたい」としています。
■トピックス(旅客機で居眠り操縦か?)
旅客機が空港素通り=78分交信なし、操縦士居眠りか−米
時事通信 10/24/09
【ロサンゼルス時事】米運輸安全委員会(NTSB)によると、カリフォルニア州サンディエゴ発ミネアポリス行きのノースウエスト航空エアバスA320型旅客機が21日、着陸予定の空港を240キロほど素通りした後、引き返すトラブルがあった。乗客147人は全員無事で、NTSBなどは運航管理上問題があったとみて、操縦士らから事情聴取し、原因を調べている。
NTSBによれば、同機はミネアポリス到着時刻をすぎても、約1万メートル以上の高度を下げないまま飛行し、管制官との交信も78分間途絶えた。操縦士らは「会社の運航方針の議論に夢中になっていた」などと説明したが、地元紙などは操縦士が居眠りしていた可能性があるとの当局の見方を伝えた。
異変に気付いた客室乗務員が機内電話で問い合わせるまで、操縦士は気付かなかったという。
人間のミスをコンピュータが支援し事故が防げた事例
■トピックス
北海道・旅客機降下:管制官が高度失念 大雪山系上空、地表520メートルまで接近
毎日新聞 2010年10月29日
北海道・旭川空港の東約30キロの大雪山系上空で、同空港へ向かっていた中部発の全日空325便(B737−800型、乗客乗員57人)が地面に異常に接近したトラブルで、国土交通省は27日、地面までは約520メートルだったと発表した。札幌航空交通管制部(札幌市東区)の30歳代の男性管制官の管制ミスが原因。対地接近警報装置(GPWS)の指示で急上昇して墜落を免れたものの、前例のないミスで、運輸安全委員会は調査を始めた。
国交省によると、同機は26日午後1時半ごろ、高度1万フィート(約3048メートル)で旭川空港に南西側から接近。しかし、管制官は南東側から着陸させるため、空港上空を通過するよう指示、空港東側で右旋回させようとした。
空港東側には標高2000メートル以上の大雪山系があり、同管制部の内規で最低維持すべき高度(最低誘導高度)は1万フィートとされている。だが、管制官は同35分ごろ、5000フィート(約1524メートル)への降下を指示。同37分ごろ、地面への異常な接近を探知した同機のGPWSが作動した。コックピットでは当初、地面への接近を示す「テレイン、テレイン」という音声が流れ、間もなく即時上昇を求める「プルアップ」という音声に切り替わった。
このため同機は急上昇。同38分には大雪山系の標高約2040メートル地点の上空約520メートルまで接近したが、数十秒後には適正な高度に復帰し、滑走路に無事着陸した。
調べに対し、運航していたエアーニッポンのパイロットは「ずっと雲の中で視界がなく、管制の指示に従った」と説明。管制官は「最低誘導高度を失念してしまった」と話しているという。【本多健、石原聖】
◇1人態勢の空域、チェックできず
今回のトラブルについて国交省幹部は「警報装置が作動したから良かったものの、あまりに基本的なことを忘れたミス。どう再発防止をすればいいのか」と頭を抱える。
同省によると、26日は男性管制官の周辺には他の管制官も多数いたが、新千歳空港周辺などと違い、1人で旭川空港周辺の管制を担当していた。個々の管制については、別の管制官が常時チェックする仕組みはない。管制席のモニターには最低誘導高度を表示する仕組みもあるが、スイッチを入れない限り表示されない。旭川空港にも管制官はいたが、空港から半径約8キロの範囲の上空約1000メートルまでが管轄空域。管轄外の空域を常時チェックしているわけではなかった。
一方で、パイロットには最低誘導高度は知らされていないという。ベテラン管制官は「手厚く管制官を配置すべき空域は他にも多数ある。今回は悪天候で、管制官の指示と計器類に頼って飛行している以上、パイロットの責を問うのも難しい」と顔を曇らせた。