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医療事故とヒューマンエラー

事故発生の背景分析

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横浜市大医学部患者取り違え事件(1999)

 
・ベッド数623の大規模病院
 ・先端医療を提供する大学病院
 ・手術は月曜日で8ケースが
  朝9時から開始予定


・患者とカルテはオペ室搬送時に
  分離された
 ・主治医、麻酔医、オペ医の連携がない
  →流れ作業的手順で進行
  →エラーチエックがない
 →医師、看護師らに有罪判決

アメリカの医療事故による死者数(1999)  
推定4万4000−9万8000人という
 (IOM:Institute of Medicin調べ)
  →アメリカの年間交通事故死者数に匹敵する
 
医療事故は施術と死亡との因果関係の特定が
 困難場合も多く上記数値に対しては反論もある。
 
IOMはアメリカ国立科学アカデミー
  (NAS; National Academy of Science)の
   医学研究所(IOM; Institute of Medicine)


医療ミス等で行政処分を受けた医師の比率年間)
 
日本医師会「医の倫理シンポ」(2/23/02)より
 アメリカ:医師70万人中4000人
   日本:医師23万人中40数人
    医療ミスを繰り返すなど、資質に
    欠ける医師を排除する有効なシステムが
    日本にはない。
     →毎日新聞7/19/02「医療を問う」より引用

医療現場の人間関係についての体験授業

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医療における人間関係

 医学部での対人関係訓練

患者取り違え調査
(文部省2000)
   79大学病院の医師・看護婦
     薬剤部長を対象に実施
     ・投薬時ミス
       @68%が患者取り違えの
        一歩手前を体験
        →ヒヤリハット
       A16%が患者取り違え
         →アクシデント

       ・疑問のある処方への質問や説明を求めたのは39%
        (薬剤部長から医師に対し)
         →「CRM」が成立していない

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医療ミスとリスク管理(日本ケース)
   
対策例
   都立広尾病院
    ・処方時に2人で呼称確認
    ・カテーテル等の接続アダプタの色分け、
         サイズ分け
     →危機管理の発想を導入
     →リスクマネジャーポストを設立

病院でのコンピュータ利用の原点

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医療ミス予防システム(アメリカケース)

   退役軍人局病院(ワシントンD.C.)ケース
    病室でラップトップPCを使う
     投薬ミスの防止
      →多種多様でミスを誘う
     患者データをバーコードで管理
     →腕バーコード使用
    投薬作業や施術の複雑化
    パソコンでサポートし
    医療事故の防止を試みる

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国立成育医療センターの試み
  コンピュータシステムによる徹底管理を確立したが・・・

ミスの予防
 1 医師の処方段階
 2 薬剤師の部門
 3 看護師の部門(リストバーコードでチェック)

事故発生
   しかし1年後事故発生
   事象;10倍量の抗生物質を投与
   原因;医師のキー入力ミス (7.5mgを75mgと入力)
   コンピュータが警告したが・・・ミス予防システムが機能せず
    1 医師レベル;多めに処方したので警告は当然、と独断
   2 薬剤師レベル;洗浄に使うのだろう、と独断
   3 看護師レベル;医師が間違えるはずはない、と独断
    →各レベルで「疑問」は感じたが相互の確認作業がなかった

原因 
  1 コンピュータ依存;人間同士の情報交換が希薄
  2 ルール無視;コンピュータの「警告」が日常化
対策
1 人間同士の情報交換を密にする
  →コンピュータやメモ伝達に依存しない
2 「ルール」をみんなで守る  
   →当事者が納得できるルールであるべき
    →システムは単なる手段にすぎない 
   システムで作業する当事者の「意識」が最重要
  「人間は必ずミスをする」という前提からスタートする

トピックス
医療事故:3割の病院で重大事故 厚労省調査
毎日新聞 2012年11月11日 
 全国の病院の約3割が、患者が死亡したり、重い後遺症が残ったりする重大な医療事故を3年以内に経験したことが、厚生労働省研究班の調査で分かった。しかし、原因を究明する組織に外部の人材が参加したのは半数以下だった。研究班は「原因究明には、中立性の確保が欠かせない。調査に必要な人材を病院側に紹介する支援体制づくりが求められる」と指摘する。アンケートは昨年9月に、3890病院を対象に実施、1261病院(32.4%)から回答があった。
 3年以内に重大事故を経験した病院は32.9%。規模別にみると、300床以上で63.6%▽100から299床29.4%▽99床以下で11.9%だった。規模が大きいほど割合が高いのは、患者が多く、高度な医療を行う機会が多いためとみられる。
 ほぼすべての病院が原因究明に取り組んだが、うち、法律家など外部の専門家の支援を受けたのは47.7%だった。原因究明で困ったことでは▽院内に事故調査の専門家がいない▽当事者以外に、事故に関連した医療分野の専門家がいない▽院外の専門家の支援を得ることが困難の順に多かった。【八田浩輔】

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医療ミス防止東北大学病院での試み
 ようやく出発点
 (航空や建設業界での先例を参考に)
   「人間はミスをすることを前提にした安全対策」
   航空業界での安全システムを参考に
  1 ダブルチェック(複数者による指差呼称)
  2 フェールセーフ(エラーのドミノ現象防止)


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