科目トップページへ

前回授業でプレゼンのミスした部分
ジョンソン&ジョンソン社の危機管理
経営層によるリスクコミュニケーションの事例
タイレノール事件

大阪大学大学院工学研究科環境工学盛岡研究室 より
http://risk.env.eng.osaka-u.ac.jp/risk/rc26711.html
【事件の概要】
 1982年、シカゴ警察はシアン化合物によって死亡した7人の市民が直前にタイレノールを服用していたことを発表しました。タイレノールは国民薬と言ってよいほど普及していた薬で、この発表によって米国民は大きな不安に陥りました。タイレノールの製造元はジョンソン&ジョンソンの子会社でしたが、ほとんどの米国民は「タイレノールはジョンソン&ジョンソンが製造している薬だ」と思っていました。


ここまで

出発時の安全を確保する事例(船舶と列車)
 出発準備での心理的緊張感
・直前の安全認知について


写真
緊張感漂うブリッジの様子
 
出航準備態勢の整った大型タンカー「室蘭丸」
 (全長 243.50m、載貨重量トン 104,722D/W )
  出航直前のブリッジでは「安全確認」を実行。
  写真はこちら


現場での事故防止工夫

ビデオクリップ
指差呼称の実践方法 (アスパクリエイト社より)
https://www.youtube.com/watch?v=lcRxOd_tSSk
埼玉高速鉄道運転室

食品の社会的信頼を得るために

ビデオクリップ
食品安全への試み 石井食品ケース 
→情報公開
http://www.ishiifood.co.jp/open-top.php
信頼と善悪について
 信頼失墜は瞬時だが
 信頼回復は気の遠くなる時間を要す 
    和辻哲郎1889-1960(倫理学 上巻) によると
     「善悪」とは・・・
      「信頼に答えるのが善であり
       信頼を裏切るのが悪である」 という
    
和辻哲郎は倫理学者。夏目漱石門下生。

    
著書「古寺巡礼」など


ビデオクリップ
高層ビルでの避難訓練
 工学院大学新宿キャンパス

ビデオクリップ
危機管理メディアトレーニング

重大事態への対応について
→個人の場合も準ずる
リスク・マネジメント危機管理 risk management
 これから起きるかもしれない危険に対して、事前に対応する行動。
 日本語で「危機管理」は危機的状況全般に関する管理を示す。

リスクコミュニケーションrisk communication
 ある特定のリスクについての情報を、利害関係をもつ人の間で共有し、相互に意思の疎通を図ること。リスコミと略す。対象となるリスクとしては、人の健康や生態系に被害や損失を与える可能性のある、化学物質やアレルギー物質、原子力分野、地震などの自然災害があげられる。リスクコミュニケーションは、実際には、消費者や住民、事業者、専門家、行政担当者などの関係者の間で、意見交換会、パブリックコメントによる意見聴取、ホームページを通した情報発信などによって行われる。関係者間で対話を行うなどの交流を図りながら合意形成に至る手段の一つとして、食品安全行政や環境問題などでとくに注目されている。
 リスクコミュニケーションは1980年代から欧米で使われるようになった概念で、日本では1996年度(平成8)版環境白書の「不確実性を伴う環境問題への対応―環境リスク」のなかで、環境リスクへの対応策の一つとしてこの名称がはじめて登場した。(日本大百科全書:ニッポニカ)から一部抜粋

クライシス・マネジメント crisis management
 危機に陥った際に被害を最小限にする取組み
  1 迅速な対処                 
    →対処が遅れるほど解決困難になる
  2 事実関係の開示
     →隠蔽(いんぺい)は必ずバレル
  3 説明責任の遂行
     →メディア対応を誤ると致命傷

図版
リスクとクライシスの関係とは
 こちら

事故を予防するステップについて

 0 工学的アプローチによる「安全」の確立
    

  1 事故防止への真剣な努力
    →チームの人間関係をよいものに保つ
    →独裁的雰囲気の排除
  2 情報の開示
     例:カルテなどの医療情報の開示(医療や福祉の場合)
     →患者・入所者、家族など関係者への開示
  3 コンピュータ支援システムの導入
    →巨大化・複雑化したシステムを
      コンピュータで支援する
      ただし、
      データ入力ミスや機械のトラブルは厳重にチェックする
  4 事故調査と責任追及を分離する
    →刑事責任免責とし、
     当事者が事実を全て語る
     ことのできる制度の確立
     →刑事訴追対応は、
      当事者が事実の隠蔽
      証言拒否等に走ることが多く
      事故再発予防に結びつかない。
      →アメリカ国家運輸安全委員会
       (NTSB)方式が参考になる

アメリカでの手法
 事故再発の防止を最優先する
 具体的には
   
重大事故への対処は「免責証言方式」をとる
   たとえば、航空機事故の場合
   日本では重大事故も警察主導で刑事責任追求が優先される。
   アメリカでは「国家運輸安全委員会」(NTSB)が原因調査に当たる。
   この機関は国の行政から独立した大統領の直属機関。
   刑事責任に該当する疑いがある時は、
   検察当局と協議して対処する。

   飲酒や薬物、犯罪性がある場合は
   刑事責任が追及される。
   明確な法的違反や怠慢がない限り、
   訴追されるおそれなく情報が収集で
   きるよう、証言については刑事責任
   の免責が保証されている。

   事故再発予防のため。当事者からで
    きるだけ事実に基づく証言を求める。

  
刑事訴追的対応や責任追及的対応は・・・
    →当事者が責任追及を
      逃れる意図で
      「事実」の隠蔽に走る
      データの改ざんする
      口裏合わせる
      証言拒否をする(ノーコメント乱発)
      →闇から闇にほうむる
        臭い物にふた・・・

  その結果
    被害者は「泣き寝入り」
    同様の事故・悲劇が繰り返される・・・
    →歴史的教訓(アメリカ航空機事故ケース)
      責任追及優先では重大事故は減らない
     
     「免責証言方式」により、事実関係を
      できるだけ正確に明らかとして
      同種の事故予防に生かす
 


アメリカ:ミスに寛容だがウソに厳しい
 日本:ウソに寛容だがミスに厳しい


ニュースヘッドライン
京電力社長「メルトダウン」隠ぺいを謝罪
日本テレビ 2016年6月22日
http://www.news24.jp/articles/2016/06/22/07333287.html
 東京電力の広瀬直己社長は、5年前の福島第一原発での事故の際、「炉心溶融」いわゆる「メルトダウン」の事実を隠ぺいしていたことを事実上認め、謝罪した。
 この問題は、福島第一原発の事故で当時の清水社長が「炉心溶融」いわゆる「メルトダウン」という言葉を使わないよう社内に指示していたとする調査結果を、東京電力が設置した第三者委員会が公表したもの。東京電力は事故発生の2か月後にメルトダウンが起きたことを正式に認めた。
 東京電力の広瀬社長は、記者会見してメルトダウンを隠ぺいしていたことを事実上認め、謝罪した。
 また調査結果は、官邸からの指示だった可能性を示唆しているが、当時の政権幹部は「指示したことはない」と否定している。これについて、広瀬社長は「今後も追加調査する考えはない」と述べた。


inserted by FC2 system