授業ブログについて
アクセスは科目トップページのリンク
または
http://ichi2017.seesaa.net/
IDは**** PWは****


4月19日授業のビデオクリッが説明不足だったため
再放映します
ビデオクリップ
エーゲ海サントリーニ島古代ギリシア哲学
関根清三、放送大学「倫理学」授業ビデオより
哲学と風土・自然環境は密接に関係がある
音楽::武満徹 作曲「失われた時への旅(サントリーニ島の幻影)」
講義部分(ビデオ後半)
エーゲ海に浮かぶサントリーニ島の映像でした。真っ青な海とサンサンたる陽光とそして切り立った絶壁、白壁の家々といった私どもがエーゲ海の島々について思い浮かべる典型的な映像になっていたかとぞんじます。

実はこの島は現在エーゲ海で唯一活動している活火山を擁する島でございまして、謎の島「アトランティス」と関わってくると考える学者学者が少なくございません。「アトランティス」についてはプラトンが「ティマイオス編」と「オクリティアス編」で言及しておりますけれど一昼夜にして失われた謎の島でございます。


この謎の島が紀元前1500年頃のサントリーニ島の火山の爆発によってミノス文明が失われてしまった、そのことを指しているか、あるいはさらに海を隔ててクレタ島のミノス文明までを一昼夜にして壊滅させたということを指しているか、そのあたりについて学者が様々な仮説を提出しているそういう島でございます。いずれにいたしましてもこのような風土の中から哲学が発祥したということについて、ここでは具体的イメージを得ていただきたかった次第です。


ビデオクリップ
古代ギリシア哲学者と科学の芽生え
何千もの間古代の人たちは太陽や星、月は神や妖精であると考えていました。バビロニアのよう箱代文明を担った人達は神からのメッセージを記録できると信じ膨大な天文学のデータを集めました。バビロンの暦には星座の動きが記録されています。そして、それらの星座を表す神々がしるされています。この天空に関する研究と知識は次第に周辺の国に広まっていきます。そして、現在のトルコ沿岸にあったギリシアの植民都市に広がりました。

そこで劇的変化が待ちかまえていました。ギリシア人は天文学の知識を今までのように解釈しようとはしませんでした。彼らは天空の神格化はやめ自然を理論的に捉えようとしたのです。アレクサンダー・ニヘイマス(プリンストン大学)は「次第にギリシア人は天体を見つめこんな風に言い始めました。これらは神ではない。自然現象なのだ。世界はある法則に則って動き、人間はそれを理性でとらえ理解することが可能なのだと思ったのです」。

こうしてギリシア人は月や星の動きを数学と論理を用いて計算し予測し始めました。自然現象が神や妖精のせいで起こると言う考えを捨てたのです。科学の誕生でした。

ギリシアの偉大な科学者タレースは航海術に関する本を初めて表し星を手がかりに航海する方法を記しました。そしてエジプトへ旅したタレースは初めてピラミッドの高さを測りました。ニヘイマス氏は「彼のピラミッドの高さを測る発想はすばらしいものでした。彼は正午までピラミッドの隣に立っていたのです。そして、ちょうど自分の影の長さが身長と同じになるのを待っていたのです。つまり、その時点でピラミッドの影の長さを測れば当然ピラミッドの高さがわかるというわけです」。

ギリシアの科学者は地球の円周を測ろうとしました。まだ地球は平らだとされていた時代です。さらに蒸気機関やポンプ、吊り橋も考案していました。


科学scienceとは
その1
自然や社会など世界の特定領域に関する法則的認識を目指す合理的知識の体系または探究の営み。実験や観察に基づく経験的実証性と論理的推論に基づく体系的整合性をその特徴とする。研究の対象と方法の違いに応じて自然科学・社会科学・人文科学などに分類される。狭義には自然科学を指す。
スーパー大辞林、三省堂、2000より一部引用


その2
自然についての知識は、最初は主として、漠然とした観察や経験の相互関係についての考察であった。ピタゴラス学派は、これをわずか4つの科学に区分している。つまり、算数、幾何学、音楽、天文学である。しかし、アリストテレスの時代までには、他の分野もみとめられてきた。機械学、光学、物理学、気象学、動物学、植物学がそれである。17世紀のボイルの時代には、化学は科学の主流からはずれていた。地質学は18世紀になってはじめて科学の域に達した。18世紀までに、熱や磁気、電気の研究が物理学の領域になった。19世紀に、科学者たちは純粋数学が他の科学とはちがうということを、最終的に確認したが、その理由は純粋数学が関係の論理であり、その構造は自然法則と無関係であるということである。しかし、科学理論を構築する際にこれを適用することは、科学を細かく分類することを可能にしている。

純粋自然科学はふつう、2種類に分類される。物理学と生物学あるいは生命科学である。前者の主流は物理学、天文学、化学、地質学であり、生物学の主流は植物学、動物学である。物理学は機械学、宇宙論、物理化学、気象学、生物学は生理学、発生学、解剖学、遺伝学のような分野に細分される。生態学は生物学の1分野である。
エンカルタ総合大百科、マイクロソフト、2003 より一部引用

心理学に影響を与えた古代ギリシアの哲人たち
 ピュタゴラス BC 582?〜BC500?
 デモクリトス BC 460?-370? 
 プラトン BC 427-347
 アリストテレス BC 384-322 

古代ギリシア哲学の先駆者
ピュタゴラス Pythagoras 前582?〜前500?,,
    古代ギリシアの哲学者・数学者.
    三平方の定理
    その思想はプラトンに大きく影響した
    →神秘性を引きずる。魂の不死と輪廻(りんね)への信仰
  「数」を通して魂を救済する
    @数の学・・・数学
    A形の学・・・幾何学
    B星の学・・・天文学
    C調和の学・・音楽
    →理系学問の原型。自然を数的に理解しようとした


コスモスcosmosの世界
→「秩序」「調和」「美しさ」
  A 神秘主義の系譜
 
  ・人:プラトン Platon (BC427-347)
   ・対象世界:精神世界、彼岸(あの世)を真の世界とみる
    →「この世」は仮のもの
   ・主義主張:理想主義
    →「イデア」とは理性によって把握された事物の本源・理想のこと

   ・研究法:数学(幾何学)を通じて真理を求める
   ・因果律:神の働きを重視
   ・モデル:数学を哲学のモデルと考えた
   ・心理学:精神分析、ユングの深層心理学の源流
    ◆恋愛にたとえると・・・2人がhappyになれたのは
      神(超越者)の導きによる
    ◆プラトンはBC380年代にアテナイに学園「アカデメイア」
      を創設し、80歳で亡くなるまで活躍した。

  B 経験主義の系譜
   ・人:アリストテレスAristoteles(BC.384-322)
   ・対象世界:物質世界、此岸(この世、現実)を重視
    →「この世」こそ現実
   ・主義主張:現実主義、経験主義
    ◆17歳の時プラトンのアカデメイアに入学した 

   ・研究法:観察による実証を重視
   ・因果律:神の働き軽視(最初のきっかけでは認める)
   ・モデル:生物(学)をモデルとした
     →アナログ(連続した)世界
      流転する(誕生・成長そして死滅)世界
   ・心理学:行動主義の源流
    ◆恋愛にたとえると・・・2人がhappyになれたのは
     きっかけは「神」がつくったが
     その後は本人らの努力
     (経験の積み重ね)が実った

カオスchaosの世界
 →
混沌(コントン)と同時に創造の原点
  C 物質重視の系譜

   ・人:デモクリトスDemokritos(BC460?-370?)
   ・対象世界:物質世界、此岸(しがん)
   ・主義主張:還元主義
   ・研究法:実証性重視
   ・因果律:偶発と偶然性をも重視
    →神や超越的存在を認めない立場(無神論、唯物主義)
    →原子論を唱えた
     世界の現象は分割不可能な最小粒子(アトム)
     の離合集散(形状、向き、配列)によって説明されるとした。
    ・心理学:認知科学
    ◆恋愛にたとえると・・・2人がhappyになれたのは
      偶然と努力の結果実った


デモクリトスと生き方
 ・中庸mesotes(度を超さない、超過も不足もNG):アリストテレス的 
 ・平常心ataraxia(あまり動揺しない):エピクロス的
  →デモクリトス本人は「上機嫌」euthymieの気持ちを持ち続けて生きる
    ことが大事、と言ったという…

 デモクリトスの画像(ウィキペディア) こちら 

 デモクリトスの「プラス思考」
  人間達が上機嫌になるには、適度の快楽と
  均衡のとれた生活によってである・・・
  …自分を幸福と考えなければならない。と言うのも、
  そう考えるなら、君はより快活に暮らすだろうし、
  少なからぬ欠陥、つまり妬み、嫉妬、敵意などを、
  人生から締め出せるからだ。(ストバイオス「精華集」)
    関根清三、倫理思想の源流、2001より




inserted by FC2 system