■ニュースヘッドライン(詐欺と確証バイアス)
あなたも被害者になり得る… 巧妙化する特殊詐欺、被害件数急増
産経新聞 2016年3月19日
http://www.sankei.com/region/news/160319/rgn1603190064-n1.html
オレオレ詐欺や架空請求詐欺といった、特殊詐欺の被害件数が県内で急増している。今月7日には、沼津市の50代女性が現金約1億4千万円をだまし取られる過去最悪の被害も発覚。特殊詐欺の大半は電話を舞台に行われ、心理学的なテクニックを悪用するなど、詐欺グループの手口は巧妙化する一方だ。専門家は「高齢者だけでなく、誰もが特殊詐欺の被害者になり得る」と警鐘を鳴らす。
「比較する音声がない電話では、自分の想定した相手と似ていない点は無視してしまう『確証バイアス』が働きます」
県司法書士会館(静岡市駿河区)で15日に開催された、「特殊詐欺対策シンポジウム」。講師を務めた立正大心理学部の西田公昭教授は、心理学の観点からオレオレ詐欺に引っかかる原因を説明した。
◆「自分に限って」
西田教授が大学生を対象に行った実験では、事前に「後で電話する」とメールを送った上で、声質の似た別の人間が「わたしだけど」と電話すると、13人中8人が電話相手を誤認した。西田教授は、「『高齢者だからだまされる』というのは偏見に過ぎない。特殊詐欺には、年齢に関係なく相手をだます巧妙な仕掛けがある」と指摘する。
特殊詐欺に使われるテクニックはこれだけにとどまらない。詐欺グループは「自分に限って詐欺に遭うわけがない」と思い込む、被害者の「正常性バイアス」を巧みに利用。いきなりカネを要求するのではなく、複数の立場の人間が入れ替わり電話をかけることで、リアリティーを演出するのが常套(じょうとう)手段だ。被害者は半ば怪しみながらも、「ここまで準備したのだから」と「コミットメント効果」で初対面の相手にカネを手渡してしまうという。
◆昨年、総額7億円
県警生活安全企画課によると、昨年は県内で315件(前年比100件増)の特殊詐欺被害が発生。被害総額は約7億円で、ピークの平成25年(約12億7千万円)からは2年連続で減少した。だが、県警が認知した詐欺の疑いのある不審電話は4204件と、前年の約1・5倍に増加している。
一方で、詐欺グループの摘発はいたちごっこが続いている。被害者の自宅などに現金を受け取りに来る「受け取り型」の手口は26年には56件だったのに対し、27年には約3倍の160件にまで急増。県警は「だまされた振り作戦」で検挙を進めているが、アルバイトで雇われた「受け子」が多く、詐欺グループの主犯格を突き止めるのは至難の業だ。同課の松下俊輔・犯罪抑止対策課長補佐は「不審電話を識別できる『迷惑電話チェッカー』の設置など、家庭でも自衛策を講じてほしい」と話している。
■ビデオクリップ(残虐性は誘導されるか、成人のケース)
アイヒマン実験
アメリカ、エール大学の心理学者、スタンリー・ミルグラム(Stanley Milgram)が行った心理学の実験で、権威者の指示に従う人間の心理状況を示したもの。
アイヒマンはじめ多くの戦争犯罪を実行したナチス戦犯たちは、そもそも特殊な人物であったのか?
それとも。ある条件があれば、誰でも残虐行為を犯すものなのか? 実験により検証した。
→閉鎖的で固定した集団の力を実証的に検証。
学校のクラス、職場の部署にも大なり小なりの閉鎖性がある
心理学は社会で起こる様々な現象を観察、実験、テストなどにより
データを収集する。そしてデータを統計法などにより分析する。
■資料(心理学と科学の関連)
科学的方法とはScientific Method
科学における研究や実験をする際の諸原理とその哲学的な土台。哲学はさまざまな出来事について「なぜ」と「どのように」を問う学問であるが、科学は、「どのように」しか探究しない。
しかしその探究はこまかく厳密におこなわれる。近代科学は、通常ルネサンスからはじまるといわれているが、なにかを知ろうとする科学的探究のきざしは、人類の歴史をとおしてつねにみられる。
科学的方法においては、すべての先入見をすてて対象をあるがままに観察しようとする客観的態度と、同じ観察や実験をくりかえすことが可能かどうかが重視される。
また科学的方法には、個々の観察や実験から一般的な仮説や理論にいたる帰納と、一般的な理論から出発して個別的な事例にいたる演繹という2つの推論のしかたがある。
17世紀前半、フランシス・ベーコンが自然観察をじゅうぶんな回数おこなえば理論へいたるという帰納法をとなえたのに対して、デカルトは、はっきりしていてうたがうことのできない観念をもとに観察された現象を説明する演繹的方法をとなえた。この2つの方法をつかって科学は、万有引力の法則のような自然界についてのさまざまな法則を発見していく。
(エンカルタ2004、マイクロソフト、より抜粋)
現代心理学の誕生
背景
1 経験論(イギリス)
→記憶や学習の研究へ
2 生理学(ドイツ)
→色覚、触覚の研究へ
心理学の独立
心理学実験室の誕生
人:ヴント
Wundt, Wilhelm (1832- 1920)。
医学を修め哲学を教えた。
時:1879年
場所:ライプチヒ大学に世界最初の
心理学実験室創設(1879)
方法:実証主義的
:精神現象を実験的にとらえる
→意識の客観化=内観法
→自然科学として徹底するのは
行動主義1913以降である
当時の心理学実験室の様子
■音声反応計測装置
■生体反応測定装置
■19世紀末の心理学実験装置の写真はこちら
具体的には・・・
「刺激」(stimulus)と「反応」(response、
reaction)
の関係を研究する「実験心理学」を基本に
臨床心理学(心理テスト、治療、訓練など)
に代表される様々な応用心理学が生まれた
心理学は身近な人間関係から国家の対立問題に至るまで、
関係する分野はきわめて広い
心理学の構図
基礎系心理学
その代表は「実験心理学」
実験心理学とは experimental
psychology
実験を研究方法とする心理学。歴史的には,思弁的方法による心理学に対立する概念である。今日においてはたいていの領域で実験的方法が使われている
心理学の場合,行動を引き起こす条件を明確にし,条件と行動との関数関係を定立するために,人為的条件を設定して観察,記録,測定すること。実験は,実験を行う場所の点から実験室実験と現場実験ないしフィールド実験に区別する場合もある。
基礎系心理学の領域
・認知の分野
→情報処理、思考など
・学習・記憶の分野
→行動の制御、技能訓練など
・情動の分野
→ストレス、感情など
・社会的行動の分野
社会調査など
社会的差別と偏見など
危機管理など