応用系心理学の領域
その代表は「臨床心理学」
臨床心理学とは clinical psychology
 主として心理・行動面の障害の治療・援助,およびこれらの障害の予防,さらに人々の心理・行動面のより健全な向上を図ることをめざす心理学の一専門分野。
 心理学史上,臨床心理学の展開に大きく寄与したものとしては,精神測定法と力動心理学がある。知能検査の開発によって個人の能力の測定,鑑別などの実践研究の領域が大きく進展することとなる。主として心理測定,心理診断と心理的治療への援助活動等がある。(心理学辞典、有斐閣、1999から抜粋)

応用心理学系の領域
・心理学的テスト・評価法の分野
 →知能検査、性格検査、行動観察など
・心理療法の分野
 →カウンセリング、精神分析療法、認知行動療法など
・発達の分野
 →精神面の発達、運動面の発達、社会性の発達など
・その他分野
 →心身の健康、経済行動、政治的行動、コミュニケーションなど

用語(新たな環境とストレス)
五月病freshmen's syndrome
 入試の緊張が解消し,5月連休明け頃より,うつや無気力状態の学生が増加することからこの名称が使われた。いわゆる荷おろしうつとも関係するとみられる。またキャンパスの諸機能に対する,役割期待と役割実現の認知のずれが一つの契機になるとも考えられる(心理学辞典、有斐閣、1999より抜粋)

ニュースヘッドライン
増える「六月病」はこう防ぐ! 乗り切る!!
毎日新聞 2016年6月1日
http://mainichi.jp/premier/health/articles/20160531/med/00m/010/008000c
ジメジメとした天候が続く6月。「会社に行きたくない」「体がだるい」など心身の不調が表れやすい時期でもある。最近は「六月病」という言葉も聞かれるが、「単なる五月病の延長」と思って放っておくと、深刻なうつ病に進行してしまうケースもあるという。職場のメンタルヘルスに詳しい人形町メンタルクリニック(東京都中央区)院長の勝久寿さんに、6月に起こりがちな不調とこの時期を乗り切る方法を聞いた。

ストレスが低下すると元気に

 4月からの新生活によって生じた疲労がゴールデンウイーク(GW)明けごろ表面化し、「やる気が出ない」などの症状に見舞われるのが「五月病」で、新入生や新入社員に見られる。一方、5月中は何とか乗り切れたが6月に心身の調子が悪くなったり、新しい現場で不安を感じたりする人もいることから「六月病」と呼ばれる。最近は新入社員の研修期間の長期化で、6月ごろ現場に配属される会社も増えてきているため、6月に症状が表れるケースもある。五月病、六月病とも正式な病名ではなく、医学的には「適応障害」に分類される。

 適応障害とは、社会生活のストレスによって不安感や憂鬱感、逃げたくなる(回避)などの症状が表れるストレス関連障害の一種だ。頭痛や吐き気、下痢などの身体的な症状を伴うこともある。急性の疾患で、ストレスが低下すると比較的元気になるのが特徴という。「たとえば会社に行くのが憂鬱で吐き気がするけれど、休みの日はやる気が出てきてジム通いができるような人は適応障害と考えられます。これに対し、休みになっても疲れが取れない、仕事から離れても体も頭もうまく働かないといった人はうつ病を疑った方がいいでしょう」。勝医師はストレスをおもり、憂鬱の程度をバネの長さにたとえ、適応障害とうつ病の違いを解説する

バネが伸びきってうつ病になる人も

 6月にクリニックを訪れる患者の中には適応障害ではなく、うつ病に進行している人もいるという。上の図で「バネが伸びきった」状態だ。「新入社員が多いのでは」と思いがちだが、中堅・ベテラン社員にも起こりうる。なかでも顕著なのが「昇進うつ病」だ。特にまじめな人、完璧主義の人は部下たちにも自分と同じクオリティーの仕事を求めてしまいがち。でもそうすると最終的に自分でやるしかなくなり、消耗していく。そのうち集中力がなくなり、うつ病を発症してしまうというパターンが多いそうだ。勝医師は「最近は成果主義の導入で職場環境が厳しく、社員1人当たりの仕事量も増えているので、誰でも発症する可能性はあります」と指摘している。

複数の「柱」でストレス耐性を高める

 では、うつ病にも移行しかねない「適応障害」を未然に防ぐために、私たちができることは何だろうか。勝医師は「趣味、家庭、友人関係など、仕事以外のことを充実させるようにしてください」とアドバイスしている。仕事だけの「一本柱」で自分を支えようとすると不安定になりがちだが、趣味、家族、友人など複数の柱で支えられている人はストレスに強いという。新入社員なら、ときどき学生時代の友人と会って悩みを語り合うのもいい。

 心の不調に気付いたら、自分を客観的に捉えることも意識したい。同じ悩みを持っている人から相談を受けたら自分はどう答えるか考えたり、会社の嫌な点、いいと思う点を紙に書き出したりしてみると客観性を保つことができ、意外とプラス面を見られるようになるという。

アルコールやギャンブルに逃げるのは逆効果

 また、リラクセーションも効果的だ。ストレス反応は緊張反応と同じなので、ストレスを感じたら肩を上げてストンと落としたり、腹式呼吸を意識したりすることで緊張がほぐれ、気持ちを落ち着かせることができる。ストレスがたまってくると、人によってはアルコールに頼ったり、ギャンブルで解消したりしようとするが、これらは適応障害の特徴である回避を助長するので逆効果。規則正しい生活を心がけたい。

 さらに勝医師は、職場における上司や周囲のサポートの重要性を指摘している。同僚の異変に気付いた時、単に休ませるのがいいとは限らないようだ。「ストレスなしで人は成長しません。ストレスをおもりと考えれば、それまで60kgの負担がかかっていたらまずは30kgのものを持たせてあげるなど、負荷を本人が対応できる範囲に落としてあげるとよいと思います。『何とかできた』という自信が次につながり、ストレスを克服していけるのです」

用語(ストレスはうつ病の一因)
うつ病 Depression
悲しみ、寂しさ、無力感、罪悪感、絶望感などのおちこんだ気持ちをおもな症状とする精神障害。たとえば愛する人をなくすと、だれでも深い悲しみをおぼえる。しかし、うつ病の悲しみは、そのような悲しみとはちがって、とくに理由もないのにいつまでもつづき、症状も重い。また、自分には価値がないと思いこみ、自責の念にかられ、楽しさがなくなって活気をうしなう。身体的にもねむれなくなったり、食欲がなくなったりする。(エンカルタ総合大百科より抜粋、マイクロソフト社、2004)

用語(心理学は動物行動も研究する)
動物心理学 animal psychology
心理学における動物行動の発生・変容・獲得・発達などの研究を総称して動物心理学という。広義にはすべての動物(行動)の心理学的研究をさすこともある。一般的には人間以外の動物を対象とすることが多く,比較心理学(comparative psychology)とほぼ同義に用いられる。また,伝統的にマウスやラットなどのネズミの仲間が研究に多く用いられてきたが,最近では,それらに加えて,サル,スンクス(ジャコウネズミ),ハト,カメ,サカナなど研究の対象とされる動物が広範囲にわたっている。心理学における動物行動の研究は,自然場面や実験室場面における自然観察などを中心とする_エソロジーなどの行動や生態の研究,心理学において活発な研究がなされ生理学研究など他の研究分野にも大きな影響を及ぼしてきた学習や条件づけなどの研究,最近は脳研究とも相互に影響を及ぼしあいながら行動発現の機構解明にかかわる生理心理学的研究,などに大別される。これらの研究は,相互に影響を及ぼしつつ,また進化学,遺伝学,動物学,生態学,生理学,あるいは生化学などの生物諸科学とも密接に関連しつつ発展している。(心理学辞典、有斐閣、1999)

ビデオクリップ
物の知恵試験 犬編
→犬種によって能力に差

ビデオクリップ
動物の知恵試験 チンパンジー

→人間との差はどこか?

資料(非言語コミュニケーションの例)
アイコンタクトトeye contact
 二者間で互いに相手の目に意識的な視線を向け見つめ合う状態。相手との積極的な関与を示したり,相手からの即時的な反応を期待して用いられる視線で凝視の一種。互いに相手の目に視線を向けることは,高度な覚醒を伴うものであり,自他の識別を促し,意図的な自己表現,感情表出をもたらす。この状態を厳密に測定するのは容易ではなく,互いに相手の顔を見る相互視(mutual gaze ; mutual look)が近年では使われる。アーガイルとディーン(Argyle, M. & Dean, J.1965)は,相互作用時の距離が増大すると視線の交錯を増大させることで対人的な親密さを維持する関係を示し,親和葛藤理論を述べている。非言語的コミュニケーション(NVC)には接近の力(親和要求,フィードバック要求の充足)と回避の力(相手の拒否的反応の認知,自分の内的特徴の漏洩の不安)がある。この両者の力が均衡するところでNVCがなされる。(心理学辞典、有斐閣、1999)
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