■資料(神経システムと学習の関係) ヘッブの法則Hebb's law
ヘッブ(Hebb, D. O. 1949)は,学習や記憶が生じるためには,脳内の神経細胞のシナプスの可塑性がなければならないと予測した。
具体的には,シナプスの連合強度(伝達関数)が,送り手と受け手の神経細胞の両方が同時に興奮した場合に高められるというアイディアである。これによって,たとえば,古典的条件づけを説明できる。
図のように,ベル(条件刺激)を鳴らしてそれと同時に餌(無条件刺激)を与えた場合,餌のにおいと味によって唾液(無条件反応)が出る。このとき,B(送り手の神経細胞)もS(受け手の神経細胞)と同時に興奮することになる。
そのことが,(もともとはほとんど影響力をもたなかった)BのSへの影響力(Bのもつシナプスの連合強度)を増加させるとすると,ベルに対して唾液が出るようになること(条件反射の獲得)を神経細胞のレベルで説明することとなる。この考え方は,記憶に関する生理学的研究をガイドするものとして広く用いられている.。(心理学辞典、有斐閣、1999)