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用語   
ナチュラルキラー細胞
 ナチュラル・キラー(natural killer; NK)細胞は、文字どおり生まれつきの殺し屋で全身をパトロールしながら、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃するリンパ球です。生まれながらに備わっているからだの防衛機構である自然免疫に重要な役割を担うと考えられています。
 NK細胞は血液中に存在するリンパ球の10〜30%を占め、パーフォリン(標的細胞の細胞膜に孔を開けるタンパク)、グランザイム(標的細胞に細胞死を誘導する一群のセリンプロテアーゼ)などの細胞傷害因子を持っています。
 また、NK細胞には活性化型レセプターと抑制型レセプターという2種類のアンテナが備わっています。NK細胞が、ウイルス感染細胞やがん細胞と出会うと活性化型レセプターからのシグナルが入って相手を攻撃します。これに対し、NK細胞が正常細胞と出会うと抑制型レセプターからのシグナルが優勢となり正常細胞を攻撃することはありません。
健康用語の基礎知識、ヤクルトより

ストレスと免疫機能

心理的ストレスは免疫機能を左右する。
→ストレスをうまくコントロールできると免疫力が向上する。

「病は気から」(ことわざ、言い伝え)
病気は気の持ちようで,重くもなれば軽くもなる(大辞林、三省堂)
「気」が免疫力に影響を与える
「気」;気力、気迫、気持ち、元気、気分、覇気、雰囲気、気性・・・
心理的ストレスは免疫機能を左右する。
→ストレスをうまくコントロールできると免疫力が向上する!
事例
・試験期間中の医学生で、試験にストレスを強く感じている学生はキラー細胞(免疫 力の指標)の活動が低下していた(オハイオ州立大)。
・インフルエンザウイルスに暴露する実験をしたところ、強いストレスを受けている   グループは発症率が2倍になった(カーネギ・メロン大)。
・社会的つながりの希薄な人は、つながりの豊かな人の2倍死亡率が高かった    (ハーバード大)。

資料
精神神経免疫学
psycho-neuro-immunology
 近年急速に発達しつつある心理的要因と神経系と免疫系の相互規定関係を研究対象とする学際的領域。現在,神経系による免疫機能調節と免疫系による神経系の調節の両方向の相互作用が知られている。
 臨床的にも,うつ病患者やストレス状況下で種々の免疫機能低下が認められたり,癌の発症に特定のパーソナリティが関わっているとする研究報告などがされている。 


免疫システムの基本
  
自然免疫と獲得免疫の2種がある
  
 免疫では白血球が重要な働きをする
  
 白血球には、好中球,好酸球、マクロファージ、
   Tリンパ球、Bリンパ球など
  
 免疫力が落ちると
   感染症になりやすくなりガンにもかかりやすくなる
  
 免疫力が高すぎると
   igEという抗体が過剰となりアレルギー性疾患になる膠原病や
   リウマチも起きやすい。
 
 白血球について
   ・白血球は状況により数が変動する。たとえば朝起床時に
    増えよる就寝時に減少する。
   ・ストレスにより数が減少したり機能が低下する
     ストレス→副腎皮質ホルモンの分泌増加→白血球特に
     リンパ球減少
     →免疫力低下

免疫細胞(リンパ球)について  
T細胞:ヘルパーT細胞(司令塔的役割)
    サイトカイン(刺激物質)を分泌
    →発熱現象を起こす
    キラーT細胞(実戦部隊:ウイルスに感染した細胞を破壊)
    サプレッサーT細胞(攻撃を抑制する)
    →異物が無力化されるとサイトカインを分泌し攻撃を抑制させる  
B細胞:ウイルスや細菌に対抗する抗体を生成し、さらに「発射」し毒素を無力化
    →抗体はウイルスそのものを無力化する
    →B細胞の一部はリンパ節に温存され次の攻撃に備える
    →記憶細胞という(同種の攻撃に対し速やかに臨戦態勢をとれる)
     →この原理を応用したのがワクチンである         
白血球:マクロファージ(貧食細胞:異物を攻撃しその情報をT細胞に伝達)
    →無力化したウイルスを補食する

B細胞=Bone marrow 骨髄で造られる
T細胞=Thymus 胸腺で自己・非自己の識別(教育)機能が造られる

 →MHC(主要組織適合性分子;自己の標識)を認識させる
   MHCが異なると免疫拒否反応が起き他者の臓器移植が出来ない 

戦いのシナリオ
マクロファージ→ヘルパーT細胞→キラーT細胞(感染細胞の破壊)&B細胞(ウイルスそのものを無力化)→マクロファージが捕食(戦争終結)
胸腺 ウィキペディアの説明は こちら
ビデオクリップ
免疫とは(戦場の戦い)

参考図
血液の組成・成分について
http://www.ketsukyo.or.jp/study/vol01_02.html

白血球とは
http://www.brm.co.jp/term3.html

造血幹細胞から免疫細胞へ(図1)
http://www.jsi-men-eki.org/general/qa_pdf/kawamoto.pdf

リンパ球がつくられる主な臓器(図2)
http://www.jsi-men-eki.org/general/qa_pdf/kawamoto.pdf

資料
免疫細胞
 タンパク質を構成しているアミノ酸からできている
 白血球
  血液の有形成分の一。骨髄・脾臓・リンパ節で作られる。赤血球より大きく,
  無色で核があり,顆粒白血球(好中球・好酸球・好塩基球)・リンパ球・単球
  にけられる。活発に活動し,好中球や単球は細菌や異物を食菌し
  リンパ球は免疫に関与する。 
  リンパ球の70-80%はT細胞、5-10%はB細胞、15-20%がNK細胞

自然治癒力
生体が健常な状態に維持する働き。免疫は主役の一つ。
1 体の機能のバランスや秩序を正常に保つ(恒常性維持)
2 病原菌など異物の侵入、変質した自己細胞を殺傷して体
  を守る(自己防衛=生体防御)
3 傷ついたり古くなった細胞を修復したり新しいものに交 換する
  (自己再生=修復・再生)

日常的な免疫機能の低下原因
1 ストレス
  免疫系の機能を低下させる
2 加齢によって免疫細胞の活性が低下
3 環境
  環境悪化や環境ホルモンなども免疫力を低下させる
4 食生活
  食品添加物、インスタント食品、片寄った栄養バランス
5 生活習慣
  不規則な生活による睡眠の乱れ、運動不足、喫煙、飲酒など
6 抗生物質
  抗生物質の多用により耐性菌などが頻発、免疫低下の要因に
7 薬
  薬を何種類も長期間乱用により免疫は低下する
8 睡眠
  睡眠覚醒リズムの乱れ、過剰な睡眠時間
9 運動
  慢性的な運動不足
10 喫煙
   マクロファージの免疫力を下げる

免疫力を高めるには
1 食生活
  栄養バランスのとれた食事を規則正しくとる。
  ヨーグルトは腸内細菌を調整し免疫力を高める。
  腹八分、空腹は白血球の機能を高める
2 適度の飲酒
  日本酒成分はNK細胞を活性化する。ワインのポリフェノールは血行をよくする
3 ストレスへの適切な対処
  ストレスにより交感神経優位となり血液循環が低下して体温が下がり、
  その結果免疫力が下がる
4 楽しい笑い体験
  免疫活性ホルモンの神経ペプチドが分泌されNK細胞の活性化をもたらす。
  笑うと体温が上昇し白血球の機能を活性化し免疫力が高まる
5 体温を下げない工夫
  冷たい飲食物を過度にとらない
  0.5度下がると免疫力が30%以上低下するとの報告がある
6 適度な運動の習慣化
  運動時に骨格筋が活動し体温が上昇する
7 20分程度の睡眠でメラトニンが増加し活性酸素を減少させる。
  眠らなくて体を横にするだけでも免疫にプラス効果がある

用語
再生医療[ regenerative medicine ]
傷ついたり機能を失ったりした臓器・組織を再生させて治療する未来の医療。薬では治らない難病に対する根治治療につながると有望視されている。臓器・組織の元になる幹細胞を体外に取り出し、試験管の中で培養して治療用の臓器・組織を作る。主な材料として心臓の筋肉の細胞や皮膚細胞に成長することがわかってきた骨髄細胞、様々な細胞に成長する能力を持つES細胞やiPS細胞といった万能細胞などがある。
(日経新聞用語集より)

ビデオクリップ
ヒトのES細胞の培養に成功1998(米)
→ES細胞=Embryonic Stem Cell。胚性幹細胞。多様な細胞に分化する能力を保ち、増殖を続ける細胞を幹細胞といい、その中で胚に由来するもの。

ニュースヘッドライン
iPS細胞
時事通信 2017年3月28日
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032800998&g=tha
 iPS細胞 神経や心筋、肝臓など体のさまざまな組織になる能力を持つ細胞。皮膚や血液の細胞に数種類の遺伝子を送り込み、受精卵のような状態に「初期化」して作る。
 山中伸弥京都大教授が2006年にマウス、07年に人で開発に成功し、12年にノーベル医学生理学賞を受賞した。難病患者の細胞を再現して新薬開発に活用するほか、目的の細胞に変えて移植する再生医療への応用が期待されている。iPSは人工多能性幹細胞の英語の略称。


ニュースヘッドライン
i
PS細胞 10年?夢の医療はここまで来た
NHK 2016年5月22日
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp545.html
京都大学の山中伸弥教授によって、iPS細胞が発見・発表され、ちょうど10年。今年、臨床研究や治験が相次いで申請される見込みで、ヒトに対する再生医療がいよいよ本格的にスタートする。「ゲノム編集」や「iPS細胞ストック」など、最新技術と様々なアイデアによって夢の技術がついに実現されようとしているのだ。2030年には世界市場は12兆円と見られている再生医療。iPS細胞研究所を徹底取材し、夢の医療の可能性に迫る。

ビデオクリップ
医療への応用(ユーチューブ)
https://www.youtube.com/watch?v=0hb-7Q1YLXk
16分49秒から22分55秒

トピックス
ヒト皮膚から万能細胞拒絶反応なし臨床応用に道
読売新聞 11/21/07
 人間の皮膚細胞から、さまざまな臓器・組織の細胞に成長する能力を秘めた「万能細胞」を作ることに成功したと、京都大学の山中伸弥教授(幹細胞生物学)らの研究チームが発表した。
 患者と遺伝情報が同じ細胞を作製でき、拒絶反応のない移植医療の実現に向け、大きな前進となる成果だ。山中教授は「数年以内に臨床応用可能」との見通しを示している。米科学誌「セル」電子版に20日掲載される。
 山中教授らは、やはり万能細胞として知られる「胚(はい)性幹細胞(ES細胞)」の中で、重要な働きをしている4個の遺伝子に着目。30歳代の白人女性の顔から採取した皮膚細胞(研究用市販品)にウイルスを使ってこれらの遺伝子を組み込み約1か月培養したところ、ヒトES細胞と見かけが同じ細胞が出現した。
 培養条件を変えることにより、この細胞が、神経細胞や心筋細胞などに変化できる「万能性」を備えた「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」だと確認した。作製効率は皮膚細胞約5000個につき1個で、臨床応用するのに十分という。
 岡野栄之・慶応大医学部教授(生理学)の話「非常に重要な成果だ。細胞移植医療への応用が見えてきた。我々が行っている脊髄(せきずい)損傷患者への再生医療研究にも、ヒトiPS細胞を利用したい。医療に応用するには、がん化の危険性を払しょくすることが課題だ」
 これまで再生医療で脚光を浴びていたES細胞には〈1〉人間に成長する可能性がある受精卵を壊して作るため、倫理的な批判を伴う〈2〉移植に使うと拒絶反応が避けられない――という問題があった。クローン技術を利用するクローンES細胞を使うと拒絶反応を回避できるが、材料となる卵子の確保が困難だ。iPS細胞なら、これらの問題をすべて克服できる。
 ただ、山中教授らが遺伝子の組み込みに利用したウイルスは、発がん性との関連が指摘されているほか、組み込んだ遺伝子の一つはがん遺伝子だ。移植後にがん化しないような工夫が課題として残る。

 
山中教授らは昨年8月、同じ4遺伝子をマウスの皮膚細胞に組み込み、iPS細胞作製に成功したと報告。人間でも可能かどうか実験していた。
 米ウィスコンシン大のチームも人間の皮膚細胞からiPS細胞の作製に成功したと発表、こちらの成果は米科学誌「サイエンス」電子版に20日掲載される。方法はほぼ同じだが、京大とは組み込んだ4遺伝子のうち2個が違うという。今後、万能細胞を用いる再生医療は、iPS細胞を中心に展開していく可能性が高い。

ニュースヘッドライン
iPS細胞で心不全治療 阪大チームが臨床研究を申請へ
朝日新聞 2017年7月19日
http://digital.asahi.com/articles/ASK7M30WCK7MUBQU005.html
 大阪大学の澤芳樹教授(心臓血管外科)らのチームが、iPS細胞を使って心不全を治療する臨床研究の計画を、大阪大の再生医療を審査する委員会に今週中にも申請することが、18日わかった。早ければ今年度中に手術を実施することになるという。
 計画では、京都大学iPS細胞研究所が作った「iPS細胞ストック」を使い、心筋細胞に変化させてシート状にし、心不全の患者の心臓に移植する。数人の患者に手術し、安全性や心臓の機能の回復具合を調べる。委員会で認められれば、厚生労働相に計画を提出。厚労省の部会で議論され、厚労相の変更命令がなければ手術が可能になる。
 チームは患者の太ももから取った筋肉の細胞を培養して作る「細胞シート」を心臓に移植して重い心不全の患者を治療する研究で実績がある。細胞シートはすでに再生医療製品として承認され、臨床現場で利用されている。
 澤教授は「まずはiPS細胞を使った場合の安全性の確認が臨床研究の主な目的になる」と話している。


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